「Outlookのパスワードを忘れました」「プリンターが動かないんですが」「Wi-Fiにつながらなくて」——。
こういった問い合わせに追われながら、ふと気づくと1日が終わっている。月が変わっても、年が変わっても、同じような対応を繰り返している。
私自身も情シス部門に配属された当初、「ITのプロになれる仕事だ」と期待していました。でも現実は、毎日の問い合わせ対応・PC設定・ベンダー折衝に追われ、「このまま5年後、10年後も同じことをしているのだろうか」と不安を感じた時期がありました。この記事は、そんな30代の情シス担当者に向けて書いています。
問題の本質:「忙しい」のに「スキルが積み上がらない」理由
情シスの忙しさは「経験値ゼロの消耗戦」になりやすい。
「忙しい=スキルが身についている」と思いがちですが、情シスの場合は注意が必要です。毎日の問い合わせ対応は確かに大変ですが、同じ問題の繰り返しであれば、それは「1年の経験」ではなく「同じ1日を365回繰り返しただけ」になってしまいます。
転職市場では、情シスの経験年数より「何ができるか」が問われます。「5年情シスをやっています」だけでは、残念ながら市場価値に直結しません。
原因は3つある
原因① 「反応型」の仕事しかしていない
情シスの仕事は大きく2種類に分けられます。
- 反応型:問い合わせが来たら対応する、障害が起きたら直す
- 創造型:業務効率化の仕組みを作る、セキュリティポリシーを設計する、新技術を導入する
忙しい情シス担当者ほど、仕事の9割が「反応型」になりがちです。反応型の仕事は経験値が積み上がりにくく、その人がいなくなっても誰でもできる業務になってしまいます。
原因② 「広く浅く」になりすぎている
情シスはネットワーク・サーバー・セキュリティ・ヘルプデスク・ベンダー管理……と守備範囲が広い仕事です。これ自体は悪くないのですが、「何でも少しずつわかる人」は、転職やキャリアアップの場面で「何の専門家?」と問われたとき、答えに詰まってしまいます。
「ITゼネラリスト」は貴重ですが、それだけでは市場での差別化になりません。
原因③ 「勉強時間がない」という思い込み
「忙しくて勉強できない」はよく聞く言葉ですが、実態を確認すると「まとまった時間がない」ということであることが多いです。社会人の学習は「1日2時間の勉強時間を確保する」方式では続きません。通勤・昼休み・寝る前の15分といったスキマ時間を積み重ねる方式の方が、継続率がはるかに高いのです。
解決方法:「専門の軸」を1本持つだけでキャリアが変わる
「何でもできる情シス」から「クラウドがわかる情シス」に変わるだけで、市場価値は大きく変わります。
私がおすすめするのは、クラウド(特にAWS)をキャリアの専門軸にすることです。理由は3つあります。
- 需要が確実にある:多くの企業がオンプレミス(自社サーバー)からクラウドへの移行を進めています。「AWSがわかる情シス担当者」は、今後ますます重宝されます
- 資格で証明できる:AWS認定資格(AWS Certified)は、スキルを客観的に証明できる手段です。「AWS Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)」は入門レベルで、情シス経験者なら2〜3ヶ月の勉強で取得を狙えます
- 現職での実績に直結する:「社内のサーバーをAWSに移行した」「クラウドのセキュリティ設定を担当した」という実績は、次のキャリアステップに直結する強力な武器になります
具体的なキャリアアップのロードマップ
| ステップ | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| Step 1 | AWS Cloud Practitioner取得 | 2〜3ヶ月 |
| Step 2 | 現職でAWS関連業務を担当する | 6ヶ月〜1年 |
| Step 3 | AWS SAA(Solutions Architect Associate)取得 | 3〜6ヶ月 |
| Step 4 | 社内改善提案・実績を作る | 並行して |
| Step 5 | 発信(ブログ・社内勉強会)で認知を高める | 並行して |
今日からできる具体的なアクション
✅ 今週できること
1. 自分の「反応型/創造型」比率を振り返る
先週1週間の業務をざっと思い出して、反応型と創造型の割合を出してみてください。8割以上が反応型なら、要注意です。
2. スキマ時間の「学習枠」を決める
通勤電車の中、昼休みの15分、寝る前の10分——どこか1つだけ「学習の時間」と決めましょう。毎日15分でも、1年で約90時間になります。
✅ 今月できること
3. AWS Cloud Practitionerの学習を始める
Udemyの模擬試験問題集(1,500〜2,000円程度)から始めるのが最もコスパが高いです。「難しそう」と思っていても、情シス経験者ならすでに知っている概念が多く含まれています。
4. 上司に「AWS関連の仕事を担当したい」と伝える
社内でクラウド移行プロジェクトや、AWSを使ったシステムがあれば、担当させてもらえるよう手を挙げてみましょう。
✅ 半年後を見据えて
5. 小さな「発信」を始める
社内勉強会でAWSについて話す、ブログに学んだことを書く——どんな小さな発信でも、「アウトプット」は学習効率を大幅に高めます。発信することで「AWSを勉強している人」という認知が社内外に広がり、キャリアの選択肢が増えていきます。
まとめ
情シスのキャリアに行き詰まりを感じる原因は、「忙しさ」そのものではなく、「反応型の仕事ばかりで専門軸が育っていない」ことにあります。
- 反応型の仕事9割 → 創造型の仕事を少しずつ増やす
- 広く浅いゼネラリスト → クラウドという専門軸を1本作る
- 「勉強時間がない」 → スキマ時間の積み重ねに切り替える
「このままでいいのか」と感じた今日が、変わるための一番早いタイミングです。
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