「情シスってつらい…」そう感じているのはあなただけじゃありません
「プリンターが動かない」「メールが届かない」「パソコンが遅い」——朝出社した瞬間から、こんな声に追いかけられていませんか。
私自身も情シス(情報システム部門。会社のパソコンやネットワーク、社内システムを管理する部署)で働いていますが、自分の本来の仕事に手をつける前に、気づいたら午前中が問い合わせ対応で消えていた、なんて日はざらにあります。しかも、ありがとうの一言もなく「直って当たり前」という空気。これが地味に効いてくるんですよね。
ネットで「情シス つらい」「情シス きつい」と検索してしまった経験がある方も多いと思います。検索してしまうということは、それだけ心がすり減っているサインです。
つらいと感じているのは、あなたが弱いからではなく、情シスという仕事の構造そのものが「つらくなりやすい」からです。
この記事では、情シスがなぜつらいのかを現場目線で整理し、今日から少しでもラクになるための対処法までお伝えします。「わかってもらえた」と思える内容になっていれば嬉しいです。
情シスがつらい・きついと感じる「本当の理由」
「仕事量が多いからつらいんでしょ?」と言われると、それも事実なのですが、実はそれだけではありません。
情シスのつらさの本質は、「やって当たり前、できて当たり前」と思われる仕事が大半を占めていることにあります。
たとえば営業職なら、契約を取れば数字として評価されます。経理なら、決算をまとめれば成果が見えます。ところが情シスの仕事は、システムが「止まらない」「問題が起きない」状態を維持することが中心です。つまり、うまくいっているときほど何もしていないように見えてしまうのです。
これは、家事に少し似ています。毎日きれいに掃除している人がいても、家族はそれに気づきにくい。でも一日サボってホコリが溜まると、すぐに「掃除してないの?」と言われる。情シスもまさにこれで、トラブルが起きたときだけ存在を意識される仕事なのです。
評価されにくいのは、あなたの努力が足りないからではなく、「うまくいっている状態」が見えにくい仕事だからです。
この構造を知っておくだけでも、「自分のせいだ」と抱え込まずに済むようになります。
情シスがつらくなる原因は、大きく3つあります
ここからは、情シスのつらさを生み出す代表的な原因を3つに整理してみます。自分がどれに当てはまるか、考えながら読んでみてください。
原因① なんでも屋扱いされ、仕事の範囲が無限に広がる
情シスの一番の悩みといえば、これではないでしょうか。「IT=なんでも情シス」という社内のイメージのせいで、本来の業務とは関係ない依頼まで飛んできます。
私の現場でも、「会議室のプロジェクターが映らない」「スマホの設定がわからない」「Wi-Fi(無線でインターネットにつなぐ仕組み)の調子が悪い」といった相談が日常的に届きます。中には「年賀状ソフトの使い方を教えて」なんてものまで。
本来やるべきセキュリティ対策やシステム改善は、こうした細かい依頼に押し流されて後回しになりがちです。やってもやっても終わらない感覚は、ここから生まれます。
原因② 成果が数字に表れず、評価されにくい
先ほども触れたとおり、情シスの仕事は「何も起きないこと」が成果です。サーバー(社内システムやデータを動かしているコンピューター)が一年間止まらず動き続けても、それは評価面談でアピールしづらいのが現実です。
逆に、年に一度トラブルが起きると、そこだけが目立ってしまう。「頑張っているのに報われない」と感じる大きな原因がここにあります。
原因③ 経営層と現場の「板挟み」になる
情シスは、会社の上(経営層)と下(現場の社員)の間に立つ仕事でもあります。
経営層からは「コストを抑えろ」「セキュリティを強化しろ」と言われ、現場からは「使いにくい」「制限が多すぎる」と不満が出る。たとえば、セキュリティのために新しいルールを入れると、現場からは「面倒になった」と文句を言われ、ゆるめると経営層から「大丈夫なのか」と心配される。どちらを立てても誰かに不満を持たれる、つらいポジションなのです。
情シスがつらいのは能力の問題ではなく、立場そのものが板挟みになりやすい構造だからです。
つらさを軽くする対処法:抱え込まず「見える化」するだけでOK
では、どうすればこのつらさを軽くできるのでしょうか。大がかりな改革は必要ありません。ポイントは、自分の仕事と困りごとを「見える化」することです。
1. 問い合わせ対応を記録に残す
飛んでくる依頼を、その都度こなして終わりにせず、簡単でいいので記録に残しましょう。日付・内容・対応時間をメモするだけで構いません。
これを1か月続けると、「自分がどれだけの量を、本来業務以外に使っているか」が数字で見えてきます。この記録は、上司に業務量を相談するときの強力な証拠になります。口で「忙しいんです」と言うより、「先月は問い合わせ対応に80時間使いました」と示すほうが、はるかに伝わります。
2. 「窓口を一本化」して、なんでも屋から抜け出す
なんでも屋から抜け出す第一歩は、問い合わせの入り口を整えることです。チャットや口頭でバラバラに来る依頼を、専用のフォームや問い合わせ用のメールアドレスに集約するだけで、対応の負担はぐっと減ります。
「ここに書いてもらえれば対応します」という流れを作ると、思いつきの相談が減り、記録も自然と残ります。
3. 成果を「ストーリー」で伝える
評価されにくい問題には、成果の伝え方を変えるのが効果的です。「システムが止まりませんでした」では伝わりません。「もし止まっていたら、全社で〇時間、業務がストップしていました。それを未然に防ぎました」と、防いだ損失の大きさで語るのです。
情シスの価値は、起きなかったトラブルの中にあります。それを言葉にできるのは、現場のあなただけです。
今日からできる、具体的なアクション
「考え方はわかったけど、何から始めれば?」という方のために、今日からできる小さな一歩をまとめます。
- 問い合わせメモを始める:今日来た依頼を1件、日付と内容と所要時間だけメモしてみる。完璧じゃなくてOKです。
- 「これは情シスの仕事?」と一度立ち止まる:すべてを反射的に引き受けず、本来の担当を確認する習慣をつける。断るのではなく「正しい担当につなぐ」意識です。
- 小さな成果を1つ言語化する:今週やったことの中から1つ選び、「これで会社の何が良くなったか」を一文で書いてみる。
- 同じ立場の仲間とつながる:SNSや勉強会で、他社の情シス担当者と話してみる。「うちだけじゃない」と知るだけで、心はずいぶん軽くなります。
そして、もし「もう辞めたい」とまで感じているなら、無理は禁物です。辞めたい気持ちは甘えではなく、限界が近いという体からのサインです。 その場合は、業務量の偏りを上司に相談する、社内で配置を見直してもらう、それでも改善しなければ転職を視野に入れる——という順番で考えてみてください。情シスで培ったスキルは、他社でも十分に通用します。
私自身も、つらいと感じた時期に資格の勉強(AWS Cloud Practitioner)を始めたことで、「自分の市場価値」を確認でき、気持ちがかなり安定しました。今はその上位資格であるSAA(ソリューションアーキテクト・アソシエイト。AWSの設計力を証明する資格)の勉強中ですが、学びがあると「いざとなれば動ける」という安心感につながります。
まとめ:情シスのつらさは「構造」のせい。あなたのせいではありません
最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 情シスがつらいのは、努力不足ではなく「うまくいっている状態が見えにくい」という仕事の構造のせい
- 主な原因は、①なんでも屋扱い ②成果が評価されにくい ③経営層と現場の板挟み の3つ
- 対処のカギは「見える化」。問い合わせの記録、窓口の一本化、成果のストーリー化が効く
- 「辞めたい」は限界のサイン。我慢せず、相談・配置見直し・転職の順で選択肢を持っておく
つらさを一人で抱え込まないこと。それが、情シスとして長く健やかに働くための一番の対処法だと、私は思っています。この記事が、あなたの肩の荷を少しでも軽くできていたら嬉しいです。
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